
フレンチブラッスリ- 個室
今年春、カペラホテルズ&リゾーツのホテルとして、京都・宮川町の歴史ある地に開業を控えるカペラ京都は、その始動に先立ち、隈研吾建築都市設計事務所とブリューイン デザイン オフィスによるホテルのデザインコンセプトを公開した。
禅寺・建仁寺や、花街文化を今に伝える宮川町歌舞練場にほど近いこの地で、かつて地域に親しまれてきた旧小学校校舎の記憶を継承。カペラ京都は「知と文化の探訪の場」として、新たな息吹を吹き込むだろう。
カペラ京都の建築とインテリアデザインについて

建築家・隈研吾氏(© Designhouse)
カペラ京都の建築は、建築家・隈 研吾氏率いる隈研吾建築都市設計事務所(Kengo Kuma and Associates)、

インテリアデザインはシンガポールを拠点とするBrewin Design Office(ブリューイン デザイン オフィス)が手がける。文化の継承、クラフトマンシップ、そして現代的な美意識が共存する空間を創出していく。
建築家の隈研吾氏は、「宮川町は京都市の中心にありながら、建仁寺を核として静けさと落ち着きを色濃く残す貴重な場所です。この『静けさ』こそが最も重要であり、ホテルでも大切に受け継ぐべきものだと考えました」とコメントを寄せた。
隈研吾氏の建築は、京都特有の細い路地のスケール感やリズムを尊重し、周囲の町並みに調和する低層の構成を実現している。また、ブリューイン デザイン オフィスは、漆や和紙、陶器、木材といった伝統素材を現代的な視点で再解釈し、質感や触感を重視したインテリアを形づくっている。

客室 カペラスイート
カペラ京都の全89室の客室では、町家特有の奥行きのある構造や「坪庭」の精神性を取り込み、京都の暮らしが育んだ空間文化が現代的に表現されている。
さらに、内と外を段階的につなぐ「しきい」の構造が生み出す、空間が重なり合う建築的レイヤーによって、移動そのものが体験となる構成を採用しているという。

ホテル中央には唐破風屋根を特徴とする中庭を配置。唐破風は、寺院の門や城郭といった格式ある建築に用いられてきた意匠であり、後に歌舞伎座や歌舞練場にも取り入れられてきた。その象徴的な屋根が、静かに空間全体を引き締める。
隈研吾氏は、「地域に根差し、街の人々に親しまれてきた小学校の跡地であるこの場所に『異物』を置くことはふさわしくないと考え、中庭という開かれた空間を設けることで、地域とのつながりを受け継ぎました」と話す。
また、京都の街に息づく独特の空間構造も建築の核となっており、「京都には細い路地が縦横に走り、歩くたびに大小さまざまな寺社や史跡が突然現れます。こうした小さな発見の連続こそが京都の魅力です。ホテルでもその『軽やかな 精神性』を楽しんでいただきたいと考えました」と続けた。
そのため、ホテルのアプローチは一般的なホテルエントランスとは異なり、祇園を思わせる細い路地や障子越しの光、水音などを織り込み、あえて動線に「緩急」を持たせている。この「圧縮と解放」を繰り返す設計により、まるで京都の街を歩くかのように、発見が少しずつ立ち現れていくだろう。
中央の坪庭と地下アトリウムには水が取り入れられ、自然への敬意を象徴している。隈研吾氏は、「坪庭は小さな空間で自然を楽しむ京都独特の文化です。水という要素を通じて、それをゲストと共有したいと考えました」と語った。
また、ブリューイン デザイン オフィス創業者のロバート チェン氏は、「京都の美は『余白の美』にあります。私たちは煌びやかに飾り付けるのではなく、静けさやリズム、素材の知性といった『目に見えない質』をデザインで表現したかったのです」と語り、伝統の「継承」と「進化」の両立を目指したと説明している。
館内の共有スペースやレストランにも注目
館内の共有スペースも、伝統的な建築要素を独自に再解釈し、ホスピタリティ機能に落とし込まれている。
ゲストが集う「リビングルーム」は、和紙貼りの行灯を思わせる光に包まれた空間デザインだ。

32席のシグネチャーレストランは、12席のカウンターと20席のラウンジバーを備え、町家の「お茶屋」の趣が現代的に再構築されている。
和食レストランでは、かつて小学校で使用されていた木材や照明をそのまま活かし、京都の素朴で緻密な職人技を継承。「洗練された夜の食体験」を提供し、京都の夜の街に新たな選択肢を提案していく。
カペラ京都の開業を心待ちにしてみては。
■カペラ京都
住所:京都府京都市東山区小松町130
公式HP:https://capellahotels.com/en/capella-kyoto
(ソルトピーチ)